長期投資のトリセツ

もしもの時も安心!長期投資でリスクを抑える「分散投資」の基本

Tags: 分散投資, リスク管理, 長期投資, 初心者向け, 資産運用

投資と聞くと、「損をしてしまうのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、将来のために大切なお金を少しずつでも増やしたいけれど、失敗は避けたいというお気持ちはよくわかります。

長期投資で着実に資産を増やすためには、いくつか大切な考え方があります。その中でも特に重要なのが、「分散投資」です。この考え方を理解すれば、投資のリスクを抑えながら、より安心して資産を育てていくことができるようになります。

「分散投資」とは、どんな考え方なのでしょうか?

分散投資とは、その言葉の通り、投資する対象を「ひとつに絞らず、分散させること」を指します。

「卵を一つのカゴに入れるな」という有名な言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、もし卵をすべて一つのカゴに入れてしまい、そのカゴを落としてしまったら、すべての卵が割れてしまうかもしれない、という意味です。しかし、複数のカゴに分けて入れておけば、たとえ一つのカゴを落としてしまっても、すべての卵がダメになることはありません。

投資も同じように、お金をひとつの企業やひとつの国、ひとつの種類の金融商品だけに集中させてしまうと、もしそのひとつに何かあった時に、大切なお金が大きく減ってしまうリスクがあります。そこで、いくつかの異なる場所に分けて投資することで、そのリスクを和らげようという考え方が分散投資なのです。

なぜ分散投資が必要なのでしょうか?

私たちの身の回りでは、色々なことが常に変化しています。ある時は人気のある商品が、次の年にはあまり売れなくなったり、ある国の経済が大きく成長したかと思えば、別の国では少し元気がなくなったりすることもあります。

投資の世界も同じです。ある特定の企業や地域、種類の投資先だけが常に良い成績を出し続けるとは限りません。もし、あなたが選んだ投資先がたまたま不調になったとしても、他の投資先が安定していれば、全体としては大きな打撃を受けずに済む可能性が高まります。

このように、予測できない未来の変動に備えて、ひとつの要素に頼りすぎないようにするのが分散投資の目的です。

分散投資の3つの大切な考え方

分散投資には、主に次の3つの考え方があります。これらを組み合わせることで、さらにリスクを抑えることができます。

1. 時間の分散(積立投資)

毎月決まった金額を少しずつ投資していく方法です。これを「積立投資」と呼びます。

例えば、毎月5,000円を積立投資する場合、ある月は安くたくさんの量を買い、別の月は少し高くても同じ金額で少ない量を買うことになります。このように、購入する時期をずらすことで、高い時にまとめて買ってしまい、その後に値下がりして損をするリスクを減らすことができます。

例えるなら、一度にたくさんの買い物をするのではなく、必要なものを少しずつ、時期をずらして買っていくようなイメージです。

2. 地域の分散

投資する国や地域を、日本だけでなく、アメリカやヨーロッパ、アジアなど、世界中に広げる方法です。

もし日本経済が一時的に不調になったとしても、他の国々の経済が好調であれば、全体の成績を支えてくれます。世界中に資産を分散させることで、特定の地域の経済状況に左右されにくくなります。

3. 対象の分散

株式だけでなく、債券や不動産(不動産に投資する専門の金融商品もあります)など、様々な種類の投資先に資金を分ける方法です。

例えば、一般的に景気が良い時には株式の成績が良く、景気が悪い時には債券の成績が安定しやすい傾向があります。このように、異なる動きをする投資先を組み合わせることで、どちらか一方が不調でも、もう一方がそれを補う役割を果たすことが期待できます。

分散投資は、どうやって始めれば良いの?

「色々な場所に投資すると言われても、自分でたくさんの会社を選んだり、海外の株式を買ったりするのは大変そう」と感じるかもしれません。でもご安心ください。初心者の方でも手軽に分散投資を始める方法はあります。

その一つが「投資信託」という金融商品です。投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金を、専門家が代わりに株式や債券など、様々な投資先に分散して運用してくれる仕組みです。これなら、あなたが自分で一つ一つの企業を選んだり、海外の動向を常にチェックしたりする必要はありません。

特に、国が用意している「つみたてNISA」という制度は、この投資信託を使った積立投資にぴったりの仕組みです。つみたてNISAで選べる投資信託の多くは、最初から世界中の株式や債券に分散して投資してくれるように設計されています。また、一定の金額までは運用して増えた利益に税金がかからないというメリットもあります。

オンラインで証券会社の口座を開設すれば、スマホやパソコンから簡単に始めることができます。手続きも、画面の案内に従って情報を入力していくだけなので、初めての方でも安心して進められるはずです。

まとめ: 分散投資で、もっと安心して資産を育てましょう

長期投資は、私たちが将来のためにゆっくりとお金を育てるための大切な手段です。そして、その大切な資産を安心して増やすためには、「分散投資」という考え方が非常に役立ちます。

「卵を一つのカゴに入れない」ように、投資先を時間、地域、対象で上手に分散させることで、予期せぬ変動が起こっても、大切な資産を大きく損なうリスクを和らげることができます。

これから投資を始める方も、すでに始めている方も、この分散投資の考え方をしっかり理解し、ご自身の資産運用に取り入れてみてください。きっと、これまでよりもずっと安心して、着実に資産を増やしていくことができるでしょう。